統治論に基づく人口比例選挙訴訟
007/(著)升永英俊/日本評論社/
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【なぜこの本を選んだか】
この投票価値の問題は、いわゆる“一票の格差”とされ、戦後、憲法における平等論の視点から闘われてきているのだが、著者は“これは「格差」ではなく住所による「差別」である”と、統治論という新しい切り口で展開している。タイトルに銘打った『統治論に基づく人口比例選挙訴訟』は、今や世界が注目する社会問題であり、海外メディアにも多く取り上げられている時事である。10年にも渡り、提議し続けられているこの訴訟を、改めて、弁護士による解説や様々な引用と共に、憲法の視点から学び直す機とした。
【本を通じて学んだこと】
以前、知人の弁護士が「この訴訟は面白い」と語ったことがあった。弁護士でもない自身は、他の訴訟との比較対象を持たず、そのコメントには興味を示したものの、気の利いた回答を用意することが出来なかった。とはいえ、本書をひといきに読み進めた中で、故越山康弁護士らによる日本で初めての一票の格差選挙無効訴訟からの大きな流れには、改めて圧倒された。
注目は採用する憲法の条文の違いであるが、「この訴訟は面白い」と発言した知人の意図までは汲み切れないのだが、新しい戦い方で展開していくこと戦略そのものに、著者の並大抵でないあくなき挑戦があり、同時に弁護士しか出来ないクリエイティビティなのではないか。時に命が、時に権利が、人の生き死に影響をもたらす弁護士の采配であるが、この士業の面白み、やりがいのようなものを見ている。
【この本を読んで目標に対して自分はどう活かせるか】
有権者にとっては、「権利が蔑ろにされている」という『非情な差別問題』で充分なのであるが、更なる市民運動の成長に向けて、訴訟の展開は1つの切り口として継続して学んでいく。訴訟に注目すると相当にニッチな情報にはなるが、支援者向けの新聞にはコンテンツとして展開してみようと思う。著者はアメリカ留学時代に、クラスメイトから「大統領線は選挙という形をとっているが、実は戦争なんだ」と聞かされる。意見の違いで血を流し合った過去から、選挙で勝ったグループが独占権を持つという、すなわちそれが選挙だという。「選挙が民主主義の心臓だ」という当時の著者の脳裏にあった言葉が、改めて原動力となった。
【この本のあらすじ】100文字程度
平成28年度改正法のアダムズ方式の採用により、衆院選は、有権者48%が、全衆院議員50%超を選出することになります。人口比例選挙=民主主義として正しい多数決、は残る2%の解決を目指すところ。何十年もの間ゆるがなかった司法が動き始めたのは、他ならぬ有志弁護士と市民有権者の行動の結果です。社会が大きく変化するその過渡を、この訴訟を追うことで、小さな積み重ねの継続だと気付かされます。