人生のことはすべて山に学んだ
019/(著)沢野ひとし/角川文庫/
保管場所:社員保管(貸出不可
【なぜこの本を選んだか】
2020年は、登山ではなく、キャンプでもなく、沢登り友達も作って沢に多く出掛けようと意気込んでおりましたが、未曾有の感染症に世界が揺れる事態となりました。自由な身動きが取れないこと、都会の暮らしで自然に触れることがままならない中、沢野さんの厳選された登山歴を文字を通して、自分の想像力をフル回転しながら、まるで山道さながらの体験を楽しみたいと思いました。
【本を通じて学んだこと】
登山をいくばくか経験すると、山と言って一括りにはできない、自然界故のすなわち生命の集合体故か、その山ごとの、道ごとの、個性に気づかされます。多くの体験はありませんが、わたしも、その感覚を持っています。沢野さんの50年に及ぶ登山歴には、まさに、その時その時の個性が溢れています。基本的な山での食事や、遭難さながらの事件も、山々の片隅で起こったちょっとした思い出なのに、その時の空気や空の色や緑の明度までもが浮かんできます。何年も前に出かけた『霞沢岳』では、徳本峠から登頂しました。山ラバーからすると、しごく、古典ルートです。3時間程度に小汗も爽快な道中でしたが、近代には、芥川龍之介氏、高村光太郎智恵子夫妻など、文人らも多く峠越えしていたと本書で知りました。そんなことは全く知らずに、のこのこ歩いてしまったことが悔やまれ、先人の歩みも味わいながら登頂すべきでした。コロナウィルスとの共存体制に世界が自信を持った頃に、再び『霞沢岳』に踏み入りたいと思います。
【この本を読んで目標に対して自分はどう活かせるか】
自然に囲まれる純粋な気持ちよさだけで登山に出かけていましたが、山のプロはやっぱり違うなぁと感嘆します。わたしの登山は、“風に触れて、マイナスイオンに包まれて、やや強度のワークアウト”であり、1本のナイフで、火を起こすし、ワインのコルクもあけるし、テントもキープするし、そんな辺りで、「どや」っとイケメン風ふかす愛すべき仲間との往復です。そして温泉に。充分に良い時間です。
しかし、世代を超えて山ラバーが存在するということは、付随してエピソードが潜んでいるわけで、まずは沢野さんの“薀蓄”片手に再登頂計画したいと思います。
【この本のあらすじ】100文字程度
山ラバーは「山が逃げる」という“合言葉”を持ちます。どう考えても「山は逃げません」けど、なぜか、この言葉には含蓄がありますね。登山は、心身両方を携えて行うものなので、登山したいと思ったその時の熱が必要で、その時行かないと結局“機会を逃す”と。しかしながら、熱と言っても、熱々でなくて、案外冷めた熱でも、ゆるりと機を得るもありだなと、まず本から入ってみるのはどうでしょうか。初期費用も700円(税抜き)ですし。