ブックシェア制度:レポート

民事実務基礎

いのちは輝く わが子の障害を受け入れるとき

024/(著)松永正訓/中央公論新社/
保管場所:社員保管(貸出不可)

【なぜこの本を選んだか】

 著者の松永正訓先生が営む、小児科・小児外科のクリニックのサイトを拝見したことがある。功績や海外の医師らとの共作である論文など、医者としての実績はもちろんだが、それ以上に、裏履歴書という自己紹介のページがあり、なんとも温かみを感じ親近感を覚えたのだった。数年前に読売新聞の医療メディア『ヨミドクター』で連載が始まり、ほぼ欠かさず更新を追っていた。医療現場のその表現がとてもわかりやすく、故にその様につまされる。優しい文章から迫ってくる、命を巡る葛藤には涙がこらえきれない時もあった。加筆原稿もあることでじっくりと読み込みたかった。

【本を通じて学んだこと】

しみじみと「生命の誕生を操作して選別する時代」を迎えている事を実感している。胎児や赤ちゃんは、生きることを精一杯全うしようとしていることには、いつの時代も変わらないであろうが、医療の進化などから、その精一杯を度外視したところで、大人たちが困惑してしまう時代。本書により“院内捨て子”という言葉を知った。障害がわかった時、どう決断をするのか、当事者にしかわからない答えの無い命題に対して、世界がどうあるべきなのかと自問自答が続く。「受容」が「仮」から「真」になっていくには一直線には進まず、日々の一進一退がいつしか「真の受容」となるとすると、その当事者の「受容」の過程には少なからず、第三者の差別の目が色濃くあることがわかる。また、2000年頃を基軸に小児医療の進歩があったように受け取ったが、若干の数十年における変化が、命の選択肢に更新をかけたという事実を今一度認識しなくてはならないのだと痛感した。法律面での過不足も理解できたが、政治と同様な有権者の意向に揺れる側面も持つような印象も受けた。

【この本を読んで目標に対して自分はどう活かせるか】

 出生前診断による21トリソミーの存在(ダウン症)、障害が重いので治療をやめるとするご両親または医師、優勢思想がもたらした堕胎。それぞれに対しての明解な糸口を探しながらも見いだせないでいる中、“中絶リピーター”という言葉も知った。単純な、夫婦間や男女間での不注意な妊娠による中絶を指すそう。望まれない妊娠という深刻な事態の手立てとしてではなく、安易に、リピーター化するのだそう。少なくとも、生命を尊重する精神が不足しすぎているのではないかと憤る。昨今注力視されている児童の性教育の強化が、将来の問題解決の一助になることも期待したい。

【この本のあらすじ】100文字程度

 それぞれのケースに寄り添おうとされる著者の想いが迫り、胸が苦しくなるかもしれません。これからこの世に生まれてくる新しい命が温かい尊厳の中であってほしいとの願いをこめて、社会の中に必要とされる「受容」とはどういうことなのか?胎児や新生児の生きる権利を、考えるきっかけになるかと思います。