ブックシェア制度:レポート

民事実務基礎

ココ・シャネルの言葉

025/(著)髙野てるみ/イースト・プレス/
保管場所:社員保管(貸出不可)

【なぜこの本を選んだか】

 クロード・ドレ氏など、ココ・シャネルの人生は、世界で多くの作家及び編集者において、取り上げられている。世界を変えた、女性のためのファッションを産んだ洗練の改革者であり、その生きざまは今も尚、人々を魅了し崇拝してしまう程に。映画に本にと、もはや大衆向けには出つくされたのではないかとさえ思いつつも、本書は、映画や広告・編集と表現の場で長くご活躍の著者が、「また別の切り口で」というきっかけから出版されていると知る。同じエピソードをどのようにまとめあげていくのかにフォーカスした。

【本を通じて学んだこと】

『皆殺しの天使』と自身を表したココ氏だが、これは、シーズンごとに新作を産みだすこと、かつて無かった芸術に機能性を備え、周囲を唖然とさせる事、すなわち以前の規格を殺して新しいものを産むようなことを含んでいるのだが、ファッションデザイナーの一見華やかなイメージとは反しての職人気質や気迫を想起する言葉。そういえば、KEITAMARUYAMAの丸山圭太さんも、「デザイナーは業が深い職業だわ」と漏らしていたことがあった。ココ氏の仕事に対する姿勢が明解に浮き出るのが「優しさに包まれてする仕事は本当の仕事じゃない」。幼少期を修道院で過ごし、平均的な幸せの概念からには到底かけ離れた出自を、不幸にすがることなく人生を切り開いてきた彼女の言葉には強烈な説得力を憶える。
ところで、CHANELは元来オートクチュールであり、富裕層からのご注文に対しその1点を仕立て上げるものであった。近年プレタポルテが世界のスタンダードになり、そういった時代の変化を、彼女はどう感じるのだろうか。そして、労働搾取や児童労働が陰に潜む、ファストファッションの到来。購入者の所得の違いはあると言えども、ファッションを取り巻く世界の変化に彼女が何を発し行動するのかは答えのない関心ごと。

【この本を読んで目標に対して自分はどう活かせるか】

 デザイナーにとって偽物いわゆる“パチモン”は、腹立たしい存在であろう中、ココ氏は自分が本物の証だとして、その安直なパチモンを購入の上分解して次の作品へと投影したりした。今でこそ「物真似されてこそなんぼ」という一般常識のような価値観だが、起源はココ氏にあるのだろうか。ハイジュエリーを解体して、イミテーションを新しいアクセサリーとして落とし込んで展開させたのもココ氏の仕業。コルセットで男性が求める女性像で着飾った女たちを開放して、動き易くて且つ洗練されたお洋服を提案した始まりがCHANELであり、それらの1つは戦時下においての閃きだった事はファッション業界では周知の事実。どんな事態に対しても発揮される瞬発力を身につけていきたいと思う。
 また本書では、彼女の衣装が彩った作品の映画監督陣、ルキノ・ヴィスコンティ氏やアラン・レネ氏など生前の交流も垣間見る。若い才能を支援するパトローネとしても著名なココ氏は、パブロ・ピカソ氏やサルバドール・ダリ氏など多くの才能の開花にも尽力し、お金の使い方にもセンスが溢れていた。(それらは現在でも受け継がれており、銀座の路面店のホールでは若き音楽家の発表の場が設けられている)。彼女の交流には洗練と知性が溢れており、『類は友を呼ぶ』とはこのことか、四方八方から成熟した人々が集まってきたのかと思う。会いたい人に会えないのは、自分がその相手の成熟に見合っていないから。人は鏡であり、出逢いとは自身そのものなのだと実感する。

【この本のあらすじ】100文字程度

ココ氏は既にその時代において、マスメディアの一方的な情報をうのみにせずに、読み解いて自分で考える力をつけるためには、知性や教養を磨くには財力などは不要、本は宝物だと残したそう。ほんの60で編された、彼女の経験から出た言葉の側には、宝物が溢れていることを想像する。時代を更新させるパワーを持つ人だけの揺るぎない信念に触れてみては。