世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?
040/(著)山口周
保管場所:社員保管(貸出不可)
【なぜこの本を選んだか】
美意識の有る無しと知性の関係に大変関心があり、愛(この場合博愛的な意味)は知性にしか宿らないのではないかと思う。時代の変遷とともに、ロジックだけでは通じない、目に見えない感性が社会を変えるという考えが強くなった。そして実際に、自身にとって尊敬する人々は、社会的貢献度と同時に、美意識が高い。
【本を通じて学んだこと】
日常的な仕事という営みが、将来を形成するとしたら、私達全員が「社会彫刻」に携わるアーティスト。アーティストとしての自覚と美意識を持って社会に関わるべき(ヨーゼフ・ボイス)。しかしながら、論理的思考とは「正解を出す技術」あまねくたどり着いた今が「正解のコモディティ化」。個人の知的戦闘能力は成長しない一方である現代の教育。
経営におけるクォリティに影響を与える3つ「アート」「サイエンス」「クラフト」であるが、日系企業で実現し辛い実態があり、その理由は、「サイエンス」「クラフト」はアカウンタビリティを取りやすく「アート」がそれを取れないから。ヘンリー・ミンツバーグ氏を引用してこれらが解説されるのだが、アートを取り入れることと、アーティストになりいってしまっては具体的要素の欠如となる。クックパッド社の社会時事として記憶に新しい一件が非常にわかりやすかった。創業者は、普通の人々がお金をかけずに豊かな食生活を送ってもらいたいと「食へのロマン」をミッションとしたが、後継者はベンチャーキャピタル出身で、とりわけ食への想いがあるわけでなく、ここで「熱いロマン」と「冷たいそろばん」という図式が目に見える。アートを担う創業者が会社の成長過程において経営のプロであるサイエンティストを雇い、最終的に牛耳られてしまう構図が度々発生する所以である。
Google社がYouTube買収当時、その買収に値するのかどうか識者からの反発があったが、エリック・シュミット氏は、“この判断が正しいかどうかはわからないが、わかっていることは、これまでの経営セオリーはこの世界では役立たない”ようなことを述べた。同社は現在、世界中の図書館と協力して蔵書をデジタル化するプロジェクトを推進しているが、具体的なビジネスモデルは無いという。この動きが「アート」であり、「アート」をセンターに、両脇に「サイエンス」と「クラフト」で均衡を保つ。企業経営をPDCAバランスにおきかえると、Planをアート型人間が、Doをクラフト型、Checkをサイエンス型と配置するとして、そこに権利バランスが取れたときにミラクルがあるのかもしれない。経営はそうはいってもそんなに短絡的なものではないが。
【この本を読んで目標に対して自分はどう活かせるか】
グローバル企業の幹部候補がアートスクールに通ったり、ギャラリートークに参加するのは、功利的な目的で「美意識」を鍛えていることがわかる。自身にとっては、無意識で楽しんでいる分野だが、意識的に鍛錬するという新しい意識を植えることが出来た。「アート」視点の見る力をもつことで、パターン認識から解放されて、それまで見えなかったものが見えるようになる、芸術が世界で文化として成立する意味も実感する。
【この本のあらすじ】100文字程度
千利休は最初のチーフクリエイティブオフィサーで、織田信長や豊臣秀吉の関係性から戦国時代末期の「茶の湯アート」。美意識を言い換えると目の前でまかり通っているルールや評価基準を「相対化できる知性」を持つとなり、日常に密接な有意義な意識でした。