銀河の片隅で科学夜話
035/(著)全卓樹
保管場所:社員保管(貸出不可)
【なぜこの本を選んだか】
表紙デザインや装丁に惹かれ、そして、サブタイトル~物理学者が語る、すばらしく 不思議で美しい この世の 小さな驚異~からは、ロジカルとファンタジーを想起しました。
【本を通じて学んだこと】
科学に触れずに現代を生きるのは、まるで豊穣な海に面した港町を旅して、魚を食べずに帰るようなもの。科学はしかし秘密の花園である。と筆者は語る。この秘密の花園の魅力を解き明かすことは、科学者の責務とあるが、科学エッセイなる本書が、その責務の1つだとすると、専門用語並べ連ねることでなく、流星群やアリの生態系など想像しうる存在の周囲からポエティカルに要点を伝える美しい成果と思える。科学者でこのようなエモーショナルな表現を持つ方は珍しいのではないだろうか。
民主主義の基盤をなす多数決は、数理的に正当化出来るのか、について。自分の意見を持つ「固定票タイプ」と、とりわけ意思を持たず時に流される「浮動票タイプ」がある場合、「固定票タイプ」が賛否を左右する。この2割程度の「固定票タイプ」の意見が、民主的手続きによって最終的意見になることは証明できることがわかる。全体からみると、ほんの少数派であっても、中枢的派閥として大きな影響力を持っている様は、想像に易い。そんなことから、各人が付和雷同せず、自分自身で責任を持って判断をする必要があることは、数理的にも確認ができる。夜話とあるように、眠りにつく前にさらりと読める短編集の体ではあるが、美しい情景や情緒の中に、量子学や数理学などが盛り込まれ、科学的明度につながる文章力に感嘆する。
【この本を読んで目標に対して自分はどう活かせるか】
理系ではなく文系の自分が、宇宙・倫理・生命・量子といった科学の分野に引き込まれる、この柔らかくてストーリー性を持った科学の本からは、著者の情熱をも感じ取れ、科学に対する尊敬の念を抱いた。数学の美しさとはよく耳にする話だが、それに近い心持ち。帯に、『SFの宝庫』と評されており、まさに。日常の固定概念を今一度ブラッシュアップしようという気が湧き起きた。ある種の直感的判断も、科学の視点を取り入れると理論的にも説明が叶い、説得力を持つことがわかる。実践にはやや難しさを思ってしまうが、日常の景色が様変わりするだろう。
【この本のあらすじ】100文字程度
“三人寄れば文珠の知恵”は何故正しいのか。ビッグデータとディープラーニングが人文分野を科学的に解明する様。読みやすい物語に明かされる科学の初歩の知識ですが、最後にわかるのが、著者は科学者であり詩人でもありました。続編を待ち望む1冊。