血が、汗が、涙がデザインできるか
045/(著)石岡瑛子
保管場所:社員保管(貸出不可)
【なぜこの本を選んだか】
2020年末に、大規模回顧展に出かけ、そのクリエイティブを堪能しました。改めて、ブックで、細部を味わうために選びました。
【本を通じて学んだこと】
安藤忠雄氏をして「現代最強の女」、杉本博司氏をして「偉大なる世界文化遺産にして貴重な絶滅危惧種」とあふれんばかりの称賛を得る、石岡瑛子氏。物心ついた頃、ファッションやアートの世界への関心の高まりから、たどり着いたPARCOのポスターがありました。民族衣装をまとった褐色の肌を持つ人々と青い空の、その奥行あるカットが、当時日常的に視界にあった広告とは全く違うオーラを放っていました。それが自分が産まれる前に作られた作品であると知り、石岡さんの存在を追うようになりました。ちなみに、当時母は、ジュリー(沢田研二さん)が衣服をまとわずの広告がかっこよかったそうで、友人たちとキャーキャー言っていたそうです。
石岡作品の特徴として、人間を超えた存在を、視覚的に、いかに形にするかということがあります。誰かがそう評するのを耳にしてきましたが、その具体的な事が見えてきました。衣装にしても、その衣装という概念を超えて、1枚の布に還元する。そして、ボリュームや質感など協調する箇所を選び取り構成する技術が抜きん出ていることがわかりました。本書のタイトルでもありますが、では、涙をデザインすると?を問うていくことは、当然ながら正解がない中で、人々に涙を想像させる何かを創り出すことで、その内側にある咀嚼のようなものこそが表現者が持ちうる感性なのでしょうか。
【この本を読んで目標に対して自分はどう活かせるか】
映画『白雪姫と鏡の女王』は、グリム童話の原作に軸足を置きつつも、新しい女性像を打ち出したことで、当時話題になりました。このお姫様は、毒りんごを素直に食べてしまうでなく、毒入りと見抜く聡明さを持つし、剣を持って戦いに勝利もします。刺繍もレースもふんだんでプリンス仕様ではある衣装も、快活さやクレバーな空気をまとい、可憐とか儚いとかのかつてのお姫様像とは違うエネルギーを感じさせるものでした。カラーブロックと模様と、それらの組み合わせとで、新しいお姫様像が生まれたのです。ターセム・シン氏との共作で、石岡氏の映画作品の遺作となりましたが、没後公開となった劇場エンドロールで“石岡瑛子との愛しい思い出に捧げる”とメッセージに気付いた時は胸が熱くなったことを思い出します。
裸を芸術に昇華させるに辺り、いまだにそれは物議をかもすのが常です。彼女は広告で裸体を活用することにも、チャレンジし続け、その都度都度で賛否が湧いた様子もよくわかります。いち早く、LGBTQもクリエイティブに登場させており、彼女はアーティストであり、優秀なマーケッターのような印象も強く持ちました。アンテナを高く維持して、タブーをタブー視しない大らかさは、ずっと持ち続けたいと思います。
【この本のあらすじ】100文字程度
PARCO、ビョーク、シルク・ド・ソレイユ、北京オリンピック、と誰しもが必ず目に留めているであろうと思います。山本海苔やAGFのmaximのパッケージも彼女の作品です。壮大な表現から食卓の彩まで。私達の人生は石岡作品に囲まれています。